1章1節➂生物の起源 我々の祖先は、いつ生まれた?

1章 生物の特徴

3つの疑問点

さあ、今回は、前回までで生じた3つの疑問について考えたいと思います。

1.なぜすべての生物に共通性が見られるのか?

2.なぜ、多種多様な生物が存在するのか?

3.なぜ、すべての生物が環境に適応しているのか?

これらの疑問をどのように説明できるのかを考えていきましょう。

1.生物の共通性について

1つ目の疑問「なぜ、すべての生物に共通性があるのか?」

それは、すべての生物の祖先は1匹の生物であったからと考えると説明がつきます。

現在、他種多様な生物が存在しています。

それぞれの生物の親、さらにその親、さらにその親…とずっとたどっていくと、最後は1匹の生物にたどり着くという考え方です。

祖先が共通であるから、その子孫である現在の生物には共通点があると考えることができます。

共通祖先は、化石の記録などから、

約38億年前に生まれたと考えられています。

また、現在の原核生物に似ていたと考えられています。

2.生物の多様性について

2つ目の疑問「なぜ、多種多様な生物が存在しているのか?」

それは、子をつくるときに複製ミスが生じるからです。

生物は何世代も完璧な自分と同じ体をもった個体を作ることができません。

親と子とで微妙に違いが生じます。

その結果、1種の祖先から、世代を重ねるごとに、多種多様な生物が生じると考えられます。

図のように最初の祖先が存在して、分裂(複製)が行われ、子に少しずつ差異が生じます。

生物が世代を重ねて変化することを進化といいます。

進化の定義で特に2点しっかり押さえてください。

1点目、世代を経るということ。つまり、1世代のうちの変化は進化とは言いません

ポケッ〇モン〇ターで生物らしきものに進化という言葉が使われますが、あれは1世代で起こっているので、生物学の定義では進化ではなく、変態です。

2点目、特徴が変化すれば、進化で、変化の方向性については問わない。つまり、一般に言われる退化という言葉も進化に含まれます

たとえば、ヒトでは尻尾が退化したと表現されることが多いですが、ここでは、ヒトでは尻尾がなくなるように進化したと表現します。

とにかく世代を重ねて特徴が変われば、進化です。

3.生物の適応について

3つ目「なぜ、すべての生物が環境に適応しているのか?」

それは、集団中で、ほかの個体より環境に適した個体が子を多く残したからと考えるとうまく説明がつきます。

この考えを自然選択といいます。

キリンの首の伸長を例にとり、図でザックリ説明したいと思います。キリン首の長さは、高いところの葉を食べるのに適しています。しかし、現在、首の短い哺乳類が多いことから、キリンの祖先も首が短かったと考えられます。

首の短い祖先が子を残します。

その子は少しずつ首の長さに違いが生じます。少し首の長い個体から少し首の短い個体まで生まれます。

少し首の長い個体はすこし高いところの葉を食べることができます。

よって競争することなくエサをえることができ、少し子を多く残せます。

その結果、首の長さによって、子を残せる数の違いが生じます。すると、首を長くする遺伝子が次世代に多く伝わります。

さらに、その中でも首の長い個体が生じます。

首の長い個体はよりエサを食べることができ、子を多く残すことができます。

その結果、数世代後には首の長い個体が集団を占めることになります。

ポイントは、キリンが高いところのエサを食べるために、首を長くしたのではなく、首が他より長い個体がたくさん餌を食べられたため、結果として世代を重ねるごとに、首が長い集団になったということです。

生物の系統

ここからは、共通祖先から現在の生物までにどのように進化の流れをたどってきたのかを考えたいと思います。

異なる特徴を持った動物を並べてみました。

ここでは共通点が多いほど最近共通の祖先から分岐したと考えます。

例えば、ヒトマダイとは背骨を持っているという共通点があるので、最近共通の祖先から分岐した。

また、ヒトデヒト・マダイ群とは成長の過程で似ているところがあるので共通の祖先から分岐した。

(具体的には、消化器官の両端である口と肛門で、肛門が先にできるグループです。)

また、ミミズカタツムリプラナリアは背骨を持たず、脱皮しないので、この3種は最近共通の祖先から分岐した。

ダンゴムシセンチュウは背骨を持たず、脱皮しないので、2種は、最近共通の祖先から分岐した。

さらに、ミミズ・カタツムリ・プラナリア群ダンゴムシ・センチュウ群とは成長の過程が似ているので共通の祖先から分岐した。(具体的には、消化器官の両端である口と肛門で、口が先にできるグループです。)

さらにヒト・マダイ・ヒトデ群ミミズ・カタツムリ・プラナリア・ダンゴムシ・センチュウ群とは動物なので共通の祖先から分岐したと考えられます。

このように共通性から進化の流れを考えることができます。この時、縦軸は時間になります。

そして、祖先から今の生物までの進化の道筋を系統といいます。

また、系統を樹木の形で表した図を系統樹といいます。

今回はここまで、それでは、まとめましょう。

まとめ:生物の共通性と多様性の起源

・すべての生物は共通の祖先から生まれたので、共通性を持つ。

・生物は進化によって多様化した。

・生物は自然選択という仕組みで環境に適応した。

世代を経るごとに、生物の特徴が変化することを進化という。

進化の道筋を系統という。

系統を樹木状に表した図を系統樹という。

最後に

科学において、現在の自然現象をどのように説明すると未来(過去)予測ができるのかを考えます。

求めいている精度で予測ができる説明なら、それが正しかろうが、間違っていようが、その説明を利用します。そもそも未来や過去にいって現象を見ることができませんので、正しいか、間違っているかを議論するだけ無駄ですよね。

今回の共通祖先もほんとに存在したのかはわかりませんが、「共通祖先がいた」と考えると、現在の生物について説明がつき、未来や過去の生物についての予測がたつという話です。

では本日は以上です。お疲れさまでした。

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