生態系と物質生産

生態系を構成するのは生物です。

さらに、生物を構成するのは有機物ですね!

生態系内の生物の増減を予測しようと思ったら、生態系で有機物が生産されている量、消費されている量を調べることは重要です。
そもそも生態系内で有機物が増えないと、それを材料につくられる生物も増えないですからね!

物質生産
生態系内では植物などによって無機物から有機物が生産されています。

生態系内で無機物から有機物を生産する過程を物質生産といいます。
物質生産の観点から見た生物の分類

生態系内での有機物の移動を見ていきたいと思います。
まず、スタートは植物が有機物をつくりところからです。

バッタが植物を食べると、有機物は植物からバッタに移ります。
さらにバッタを鳥が食べると、有機物は鳥に移ります。

有機物の移動は食う食われるの関係にとどまりません。
生物が有機物を含む排出物を出したり、死亡したりすることで有機物は土壌中に移動します。
枯死体や遺骸、排出物などをキノコが吸収すると、有機物はキノコへ移ります。

生態系内で物質生産の観点から見た生物分類
このようにみると、生物は物質生産が可能かどうかで大きく2つにわけることができそうです。
無機物から有機物を生産する生物を生産者といいます
無機物から有機物を生産するはたらきを炭素同化(炭酸同化)といいましたね!
言い換えると、生産者とは炭素同化を行う生物のことです。

生産者のつくった有機物に依存し、有機物を消費するだけの生物を消費者といいます。

消費者のうち、生物の遺骸や排出物内の有機物使用し、消費する生物を分解者といいます。
物質収支

ここからは生産者と消費者の有機物の出入りの内訳をみていきたいと思いまうす。
一定期間における有機物の収入と支出の内訳を物質収支といいます。

ここで、一応、有機物の役割を確認しておきますね!
有機物の役割は大きく2つです。
1:体を構成する(材料)となる。
2:エネルギーの貯蔵する(燃料)となる。
私たちはご飯(有機物)を食べますが、それは燃料として(カロリー)だけでなく、からだのパーツになっているんですよ!
車にガソリンを入れてそのガソリンがハンドルやシートの一部になるという感じです。…ん?

生産者の物質収支
まず、生産者の物質収支を見ていきたいと思います。
現存量
もともと持っている有機物の量を現存量といいます。
現存量は貯金のイメージです。

総生産量
ここからは収入(有機物獲得)です。
生産者の有機物獲得方法は光合成ですね。
無機物から生産した有機物の総量を総生産量(同化量)といいます。
総生産量は売上のイメージです。

呼吸量
ここからは支出(有機物消費)の内訳です。
生産者は生命維持に必要なエネルギーをえるために有機物(燃料)を酸化します。
酸化された有機物は無機物になります(この過程を呼吸といいましたね)。
燃料として酸化分解された有機物の量を呼吸量といいます。
呼吸量は売上を上げるための必要経費のイメージです。

純生産量
総生産量から呼吸量(燃料)を引いて、余った(体の材料になるはずの)有機物を純生産量といいます。
純生産量は売上から必要経費を除いた純利益のイメージです。

純生産量(体の材料になるはずの有機物)は奪われる
有機物の移動を合わせて抑えてください。
生産者からは2つの矢印が出ています。つまり、有機物の一部は出て行ってしまいます。
1つは消費者に移動します。消費者に食べられた有機物の量を被食量といいます。
1つは枯れて植物体から離れてしまいます。枯れて失った有機物の量を枯死量といいます。
残りが生産者の体をつくる材料となります。体の材料となり、植物体を大きくする有機物の量を成長量といいます。

純生産量(プラスになった有機物)の移動先
まとめます。
消費者へ⇒被食量
分解者へ⇒枯死量
生産者へ⇒成長量

消費者の物質収支
現存量:もともと持っている有機物の量
摂食量
消費者は自分では物質生産できないので、有機物を他の生物から取り込みます。
他の生物から取り込んだ有機物の量を摂食量といいます。

不消化排出量
通常、摂食した有機物の一部は消化できません。
消化できず排出された有機物の量を不消化排出量といいます。

同化量
消費者は摂食量から不消化排出量を除いた有機物を自由に使うことができます。
燃料や材料として使うことができる有機物の量を同化量といいます。
生産者の総生産量と同じです。

生産量
呼吸量:呼吸によって消費する有機物の量
消費者は同化量から呼吸量引いて、余った(体の材料になるはずの)有機物を生産量といいます。
生産者の純生産量と同じです。

生産量(体の材料になるはずの有機物)は奪われる
生産者のときと同じですが、バッタの矢印を確認してください。
被食量:捕食で奪われる有機物の量
死滅量:死ぬことで失う有機物の量(生産者の枯死量と同じ)
成長量:体の材料となり、体を大きくする有機物の量

注意事項
最後に細かいことを2点チェックしておきます。
・生産者の被食量は一次消費者の摂食量と一致します。
被食者が食べられた分は被食者が食べた量とイコール
・現存量+成長量は次期の現存量になります。 成長量はその生物に残ります。つまり、貯金になるのですね!
本日はここまでです。有機物の移動(物質生産)の観点で見ると、また新しい見え方考え方ができますね!
あらためて植物(生産者)のありがたさがわかります。人間を万物の霊長などとおごるのが恥ずかしいですね。
はい、お疲れさまでした。
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